柔らかな頬 (下)

2005年1月24日 読書
ISBN:4167602075 文庫 桐野 夏生 文芸春秋 2004/12 ¥590

ハードカバーか文庫かと言われれば迷い無く
「文庫本派」です。
仰々しい装丁と質感に騙されるのはイヤなのと、持ち運び便利さが最優先な実用派なのです。
いつでも読みたいときにバッグに忍ばせていたい。
ハードカバーで読みたい本があっても殆ど買わず、文庫化を待ちます。

で、待ち続けたこの作品。
やっと読むことが出来ました。

幼女失踪事件という悲痛な事件から端を発するお話なのですが
謎解きミステリーかと思いきや実はそうでは無かったのが意外というかちょっとがっかりかな。

子を失った家族、愛欲の果てに崩壊する理想の家庭、死に行く人間と生きながら死んでいるも同然の人間たちをひたすら乾いた視線で切り込むように描いていく。
結局、最後まで誰が犯人なのかハッキリしたことは分かりません。消去法でいけば絞り込むことは出来るのですが、それよりなにより、「跡形もなく忽然と消失してしまった」ことへの納得の行く説明が欲しかったかも。

母親の情事を身近に察し。「母に捨てられた」と感じる5歳児の孤独と絶望感。
手を下したのが誰であろうと、彼女の救いは「死」しかなかったのかもしれないと思うと、主人公の犯した罪の深さは許し難い。
小説を愉しむと言うよりは、エゴイストばかりの登場人物に腹が立ったかな。それは小説としてものすごく良くできているとも言えるけれど、あまりの後味の悪さに少し閉口気味デシタ(-_-)。
ついに買っちゃいました…
全巻大人買い。
11巻まで読破。

で、9巻。
逃避していったのだめの実家まで留学を説得にいく千秋。
河川敷でのニアミス寸前のやりとりと
千秋のあまりに自分に素直な行動(千秋は自覚なし)に
おばさんは胸が熱くなりました。
ちょっとちょっとぉ〜
私は久しぶりに「男女」のカップリングに萌えてしまいましたよぅ〜(爆)。
どうしてくれよう。恋してしまった。この二人に。

恋とか言うより初めから夫婦漫才の領域に達している二人。
「同士愛」のような絆が感じられて
あんまり男女としてこれ以上進展して欲しくない気もします。

ヨーロッパ編でもなかなか笑わせてくれますが
のだめちゃんの活躍が少ないのが寂しい。
早く続きが読みたい(でもコミックスまち・笑)。

決めました。
のだめデータベースつくりマス!
もうすでにネット上にそんなもんがあるのは分かってますが
自分用に作ってクラシック聴きまくりたいデス!
あ…でも一番聞きたいのは「もじゃもじゃ組曲」かも…。
これだけは絶対聞けないですけどね(笑)
変態天才ピアニストのだめ(野田恵)と天才指揮者(?)千秋真一の変いや恋?と音楽に打ち込む青春を描くクラシックコメディー漫画。
****
の…っのだめが読みてーーっ!

まだ6巻までしか買ってないので先が気になって夜も眠れん(大げさ)
ちびちび買って楽しもうとしていたのが間違いのもと。
今日は全巻ゲットぉ〜〜っと書店に赴くも、
売・り・切・れですから〜〜〜っ
残念!

ピアノを弾いているシーンのある漫画と言えば
「オルフェウスの窓」(古すぎ)ぐらいしか知らない私。
あれはあれで素晴らしい漫画でした、はい。
でも「のだめ」のすごさは
クラシックを聴きたくなること。
間違いない

のだめちゃんと真一くんのCD出たら絶対買っちゃいますよ〜!
ぎゃぼ〜

一体のだめの恋はどうなっているのか不明ですが
真一はのだめの才能は見込んでるけど恋とかそういうんじゃないような……でも可愛がってることは確かですよね♪
なんかいいですよね、そういうのって…(遠い目)
このまま変わらないでいて欲しいような気もします。
明日は他の書店へ走る(苦笑)。
小林製薬さんはえらい。
世の中の密かに困ったこと、でも口には出していえなかった困りごとを口に出して言ってくれる(笑)。

サラサーティの宣伝を初めて見たときにはぶっとびました。
おばさんとはいえ、女優さんが「○○○○の悩み!云々かんぬん」とテレビで言ったときの衝撃はすごい。
今では見慣れたもので、ほとんど無視(認知ともいう)されていますが…。
しかし、これで救われた外泊女は何万人いることでしょうか(言うな)。

だいたいはシモのことが多いですが
そのほかでも熱さまシートだの、なめらかかとだの、あるわあるわすごいネーミング。一体誰が考えるんでしょう。

で、この「イララック」だけども、これを見たときも
「おおお〜っ!ついにやってくれたね、小林製薬!」と拍手喝采を贈りたくなりましたね。
ネーミングがあれなんで、買ったことはないんですが(苦笑)。

女性に特有のPMS(月経前緊張症)はもっと社会問題にしたほうがいいと常々思ってました。
これを世間が正しく理解してくれるだけで世の中少しは平和になるのではないかと。
自分も出産後はPMSがかなり酷く、漢方薬局に飛び込んで薬を処方してもらったことがあった位だ。
そのときは薬が聞いたと言うよりは、薬局のおばさまに話を聞いてもらって慰めてもらったことの方が大きかったけれど(苦笑)。

毎月毎月、この不快症状は必ずやってくる。
きれいだったものが鬱陶しく見え、
可愛いと思っていたものが憎らしく見え、
この上なく邪険にしてみたくなる。
ちゃぶ台があったらひっくり返したくなる。
全部PMSだと分かっているんだがやめられないんである。

イララックが効くかどうかは別にして、
人間は所詮ケモノの一種であると毎月自覚させられる女としては、もっともっと他の製薬会社も競ってPMS対策に取り組み、世間の認知度を上げて欲しいと思う今日この頃です。
WOWOWで初見。日本未公開作品かな?
父を亡くした兄弟とその友人たちの、サーフィンを通して描く一夏の成長物語。
ほとんど無名の俳優さんが出演していますが
昨年公開の実写版「ピーターパン」のジェレミー・サンプター君が不安障害の弟役で出演しています。

こんな青春映画、今時のアメリカ映画でもあるんですね。
ほんとうにさわやかで、後味の良い青春映画。
暴力も、セックスもどぎつい描写一切なし。
すわ、喧嘩か、と思いきやすんでの所で平和解決するし
父親に愛されていないと思いこんだ友人が断崖に立つシーンでは
「なんか死にそう」と予感するのだけど友人たちの温かい言葉で救われる。
サーフィンを通して家族ぐるみで親密になった男がある日突然夕食を断り、「少し残る」と海に独り残るシーンではまたまた「大波に飲まれて伝説のサーファー・死亡とか?」なんて思ったりするのだがそれもなし。

これがトム・クルーズとか時の大スター主演の青春映画だったら2人とも死んでるよ。

でも、現実にはそうそう人は死ねない。
だから私はこの映画にリアリティを感じたし、
亡くなった父親の代わりに家の中心になり、弟を守ろうとする長男の必死な姿に共感もし、愛おしくも思えた。
終盤、彼自身も重荷に耐えかねていたことに素直になっていく様は感動的。

随所にちりばめられたサーフィン・シーンも、「ビッグ・ウェンズデー」を思わせるほど生き生きとしていて素晴らしい。
素敵な青春映画です!
つまらなかったです。
奥さんがセクシーだとか、評論家の方々のほめ言葉を色々事前に聞いていたのですが…。

基本的にインクレディブルもシンドロームも同じです。
インクレディブルはシンドロームが子どもの頃、心に傷を付けた責任があると思う。
だから最後は彼を救ってあげて平和に解決するのかと思ったら飛行機のエンジンに巻き込まれて死亡(愕然)。

結局何、自分たちの家族さえ幸せならいいんですね。

G指定で出来ないことはないとD社からサジェスチョンがあったのを敢えてPGにしたとか言ってますけど
軽くPG13を超えてませんか?

ピクサーさん、遠慮はいりませんから、早くディズニーと手をお切りください。
もう二年も前の映画なのですねぇ。
今回初見です(遅)。

いくらディカプリオが童顔でもティーンには見えん(笑)。
ついでにウォーケンと親子にも見えん。
でも父、結構はまってました。ちょこっとでてすごむ役かと思ってたら意外と繊細な役だった。
悪役以外のウォーケンは「タイムトラベラー」以来ですわ。

今の情報化社会だったらありえないほどの稚拙な犯罪ですね。
「天才」だったのは時代のせいでしょう。
当時のアメリカはあんなものにダマされてしまうほどおひとよしだらけだったんでしょうか。
日本社会では絶対にありえない詐欺の連続に、結局何、実力主義というかはったりに弱いだけじゃん!とかつっこみ入れたくなったり(笑)。
主人公フランクは心から父を愛しているという精神的なよりどころを破壊され、身を寄せる物理的な場所もなく追いつめられていたことも犯罪のエスカレートの一因としてあるんでしょうね。
実年齢とは離れているものの、多感なティーンの心の揺れみたいなものをディカプリオはさすがに巧く体現していたと思います。
終盤、飛行機から逃げ出して母の元へ向かったけれど、新しい家族を既に築いている母を目の当たりにして絶望するフランクには心が痛みました。
FBI捜査官カールとの、親子のような、親友のような心の交流も良かったです。(銭形警部みたい)
トム・ハンクスにはやっぱりコメディが似合いますね。

スピルバーグの映画とは思えないくらい小じゃれた映画でした。

スピリット

2004年12月27日 映画
DVD ドリームワークス 2003/10/24 ¥3,990
****
美しい作品ですね。擬人化の台詞で語り合わない馬たちの交わす視線や表情が実に素晴らしい。
ストーリーも、アニメにしとくのもったいないくらい良くできてます。主役のお馬さん(「スピリット」という名ではないよね…野生の馬なんだもの)の視点で、また、時には開拓者と原住民の双方の視点で描かれ、最後の戦いで、立場は違うけれどお互いの思いが昇華されていくくだりなど、隙が全くありません。お見事です。

けど、さほど映画としての魅力を感じないのは何故なんでしょう?

描かれている開拓者の軍曹と対するコタ族のクリークは、造形こそスマートに描かれているけれど、実に記号的で魅力が感じられないので、どちらにも感情移入できなかった(それがねらいかも?)

なんというか、言ってみれば、
ものまね番組でおもいっきりストレートな演歌のものまねを見たときのような、
カラオケボックスで盛り上がってる最中に平井堅のバラードを長々と熱唱されたときのような、
そんな種類の居心地の悪さを感じた、ストレートな感動作でした(何がいいたいんだ・苦笑)。

BGVとして最高の映像美ですね。
最近では一部でジミ婚ばやりの日本ではありますが、あちらさんでいう「大袈裟な結婚」は、日本ではまだまだごくあたりまえのフツーのレベル。
個人対個人のものであるべき結婚というものに「家族」という重いものが付いてくるのも、特別な事じゃない。
なので、この映画には親近感を覚えると言うよりは、世間でどのあたりがそんなにうけたのかよく分からなかったです(ごめんなさい)。

私事ですが、私には姉がいて、私よりもすこし遅れて結婚。
頭が良く生真面目で、ルックスだって悪くないのに、早々に家を出て自由にやってきた私よりは「家族」の干渉や「親の重圧」というものを一人で背負ってきた。
あまりに男っ気がなく、地味な生活を送っていたので
「もしかしたら結婚しないのかも」と思っていた矢先、
ある人と縁あって(恋愛)それこそあっという間に結婚したのです。
出会いも偶然に偶然が重なるような出来事で(あまり詳しく描くと素性がばれるのでやめます)、どの要素が欠けても、2人は出会わなかったであろうというもの。

で、今は幸せにくらしているのですが、やっぱりこういうものは「縁」なのだな、とつくづく思うのです。

この映画の主人公は別に結婚願望があるわけではなく、「家」という濃密な「血」の世界から一歩飛び出したいと願っている。
そしてイアンと出会って一歩飛び出す決心をする。
自分に磨きをかけた彼女は再びイアンと出会い、恋におちるのですが、実話だけあってその後の話のふくらみがまったくありましぇん(笑)
このイアンは超がつくほどのお人好し。こんなにいいなりになってくれる男はそうはいないでしょ。あの家族にとっちゃ「当たり」です。文句いっちゃいけません。
結婚後は妻の実家のとなりに家を建ててもらって幸せそう。
まるでアメリカ版のマスオさんですね。

この映画との出会いもまさに一期一会。
身構えているのではなく、ふらっと立ち寄って良い気分になって帰れる、そんなハッピーが一杯(いっぱいすぎておなか一杯・少々眠気)のムービーです。

クジラの島の少女

2004年12月24日 映画
DVD アミューズソフトエンタテインメント 2004/06/25 ¥4,935 主役の美少女ケイシャ・キャッスル=ヒューズがアカデミー主演女優賞に最年少でノミネートされたほか、数多くの映画祭で観客賞を受賞したニュージーランド映画。 鯨に乗ってやってきたという伝説を信じるマオリ族の一家に生まれたパイケアだが、女として生まれた故に、跡取りとして祖父から認められない悲しみを抱えていた。ある日、大量の傷ついた鯨が浜に漂着する。

***
か、感動してしまいました…泣いちまった…
マオリ族の指導者の出現を頑なに信じつづける、本当は優しいおじいちゃんと、あたりまえに家族に、特に、ほかでもないおじいちゃんに愛されたいパイケア。

パイケアは自分が預言者だという自覚はないのだけれど、
村を愛し、部族を愛する心を備えている。
だから、父と一緒にドイツへ行く道もあったのに敢えて村で暮らすことを選ぶ。
しかし、預言者は「男」だと信じて疑わないおじいちゃんは彼女にことさら辛く当たってしまう。
おじいちゃんを主賓にし、彼女がマオリの伝統のルーツや未来を語る「スピーチ」のシーンでは泣けて仕方がなかったです。
おじーちゃん早く来いよ!!パイケアが泣いてるって!!

時を同じくして大量のクジラが浜にうちあげられ、村人は救助に奔走するがらちがあかない。
ここからはもう「ナウシカ」の世界でした、はい、あのまんまです(笑)。でもいいです。

パイケアがクジラに乗って海に還っていくシーンは素晴らしい。
一体どうやって撮ったんでしょう?
そしてラスト、島の男達が力を合わせて船を海にこぎ出すシーンは圧巻です。
あんのがんこジジイが!と思ったのも忘れて、
伝統って…やっぱり守っていくべきものだよね、と思わせるカッコよさにあふれていました。
DVD ポニーキャニオン 2003/12/17 ¥3,990 。この原作『スリーピー・ホロウの伝説』は、学校の教科書にも載っているという有名な話である。200年前のニューヨークの村で、首なし騎士が村人の首を切りとって持ち去るという連続猟奇殺人事件が続出し、捜査官ジョニー・デップがその捜査に乗り出す。

まあ、一言で言えば、
「八ツ墓村」と「ターミネーター」を足して2で割ったような映画です(爆)

ここで特筆すべきはJ.デップではなく、首無し騎士を演じたクリストファーウォーケン!(でた)
カコイイだけじゃなく、なんだか可愛いんですよ(笑)。
バッサバッサと容赦なく首を落とす非情な傭兵である反面、
愛馬デアデビルに見せる優しげな表情とか!クリスもー最高!悶絶。惚れ直したっす!!

クリストファーウォーケンという人は顔に似合わず非情に人が良いそうで、来るオファーは全部受けるそうだ。(だから駄作多し・苦笑)
この映画でも台詞はないわ、無気味だわ、首はないわの三重苦にもかかわらず、この存在感は凄いですよ〜。
伊達に地でゴシックホラー顔じゃないっ。

しかし、この映画に出てくる人はみんな顔が怖い(笑)。
クリスティナ・リッチみてて誰かに似てると思ったら、うちのチビだった(爆)。

うちの子も将来はゴシックホラー顔になること請け合いですな(^_^;)。
ちなみに彼女はカボチャのごとくぽんぽこ首が飛ぶシーンで狂喜してました…こわっ。(当時3歳)
ディズニー映画みて怖いとかいうくせに…
…こどもってよくわかんないっす。

ディア・ハンター

2004年12月20日 映画
数年ぶりに見ました。

クリストファー・ウォーケンのあまりの美貌にクラクラ…
う、美しすぎる…

で、やっぱり思った。
マイケル(デニーロ)はニック(ウォーケン)を愛している。
ニックはたぶん、ガールフレンド(ストリープ)もいるし、ノーマルなんだろう。
これは戦争映画でもあるけれど、ヴェトナム戦争をモチーフにした、スラヴ系アメリカ人の、マイノリティのゲイの青年の青春物語でもあったのだ。

スティーブン(J・サヴェージ)の結婚式の後の出征パーティでの様子ではっきり分かる。
マイケルはニックの写真(パーティ会場に飾ってある)と踊りまくってるニックの姿を肴(笑)に酒をあおっている。が、その視線をニックの恋人・リンダが自分へのものと誤ってうけとめてしまう。それを察したときのマイケルの決まり悪そうな様子…。

ニックがヴェトナムで行方不明になってから、故郷でマイケルとリンダは関係を持つけれど、リンダを愛していると言うよりは、ニックの愛した女を愛しているという感じがした。リンダも相当哀しい女である。

ロシアン・ルーレットのシーンばかり有名だけれど、前半、後半の故郷クレアトンでの人間模様が、実に丁寧に描かれていて、こちらのほうが秀逸だと思う。
はい、これをタルイと思った方は、見ないでください。
映画が腐ります。

タモリが、かつて
「おれはディアハンターを見て一ヶ月落ち込んだ。それ以来見て楽しい映画しか見ないようにしている。」と言っていた。
この映画を語るときにはこれは、まさに至言と言わざるを得ない。

ムーラン 2

2004年12月18日 映画
♪ふ〜たりのため〜せ〜かいはあるのぉ〜♪
終始ラブラブモードのおふたり。
よその国で●×△しちゃうぐらい周りが見えてないって…
なんか恥ずかしいぞ。

今回はお二人は脇に廻って
三人の皇女様とヤオたちの恋がメインかも。
つか、シャンとムーラン、ちょびっとキャラ変わってません?
りりしいシャンがお好きな方にはこの道化ぶりはつらいかも。
私はシャンの寝顔に萌えさせて頂いた上、結構笑わせてもらいましたけど(^_^)

絵は時間かけただけあってかなり頑張ってました。

あと、ひとつ、質問。

あんたら皇帝陛下と「同盟」のこと忘れてませんかっ?
平凡な主婦がある日娼婦が虐待され半殺しの目に遭っている現場に遭遇する。
居合わせた夫は彼女の生死にはまったく興味が無く、彼女の血で汚れた車のフロントガラスだけが気がかり。

子どもも家を出、子育ても終わり夫とふたりだけの生活だが、仕事一筋の夫は周囲に冷淡で実母にさえ会おうとしない。

ふと彼女はあの娼婦のことが気になり、再起不能にも思えた娼婦ノエミをかいがいしく看護することで自分の居場所を見つける。しかし、ノエミには重大な秘密があった…。

***
日曜の夜、「夫婦」というドラマを見ているご夫婦はなんともお互い居心地の悪い思いでみているのではないでしょうか。
交わされる会話があまりにもリアルで、女は時にはすっとするような啖呵を黒木瞳が切ってくれる時もあれば、男の言い訳になんだよバカヤローとか怒鳴りたくなるときもある。
今、ドラマは夫婦が離婚届に判を押したところだけれど、
お願いだからこのまま離婚して欲しい。
「やっぱりあなたがいないと…」
「お前だけだ…」なんてendingは男性を満足させるだけだからね。

で、この映画だけど、主婦である主人公が娼婦ノエミの看護にのめりこんでいくと同時に家庭はカオス(原題)状態になっていく様は、まるで「夫婦」のようで笑える。
私には、主人公が見ず知らずの他人の看護に入れ込んでいく彼女の気持ちが分かる。誰でも良いから、何かしてあげたい気持ち。
そして、息子に無視され続ける母には心から同情した。
この血のつながりのない女達が、ラスト、男達をすっぱり捨てて、海を眺めるシーンは哀しいけれど痛快だった。

メリル・ストリープ主演でリメークされるそうです。
そちらも楽しみ♪

のっぽのサラ

2004年12月13日 読書
ISBN:4198617457 単行本 金原 瑞人 徳間書店 2003/09/21 ¥1,365 「助け、求む」。パパの出した広告に、はるか遠い海辺の街からひとりの女性がやってきた。パパの新しい奥さんになるかもしれない人、わたしと弟のケイレブのお母さんになってくれるかもしれない人だ。海のおみやげを持って草原へ降り立った「のっぽでぶさいくなサラ」をわたしたちは、すぐに好きになった。でも、サラは海が恋しくてたまらな…

実は本は読んでません(爆)。
ありとあらゆる書店を探しましたが見つからず。残念。

昨日、WOWOWでオン・エアの「ニック・オブ・タイム」でmy darling、Christopher Walkenを見たのでこれのドラマ版を思い出しました。

父役ジェイコヴがウォーケンでサラ役はグレン・クローズです。
決してホラー映画じゃありません(笑)。

未婚で微妙な齢の女性、サラが、単に「労働力」として農場に後妻ととして嫁いでくる。この年になるまでろくに愛も知らず、兄が結婚したのをきっかけに家を出、自分にコンプレックスを感じながら「求人」に応えてやってくる彼女は、もちろん「夫」からの愛もはなっから期待していない。

一方ジェイコヴは妻に先立たれた傷がまだ癒えないけれど、ただただ目の前にこなさなければならない「仕事」があることで気持ちを紛らわせている。こども達にも不器用な愛しか示せない。
そんなふたりが、共に生活をおくるうちにいつしか心を通わせて
ほんとうの家族になっていく。

テレビ映画で、3部作になっているのですが、ケイリブとアンナというこども達がほんとに可愛くていじらしくて、また、その子立ちを眺めるG・クローズの優しげなまなざしが本当に素敵で惚れてしまいました。
対するジェイコヴのクリストファー・ウォーケンもいつもの怪演がうそのように繊細で、不器用だけれどほんとうは心根の優しい男性を好演。農民なので、ややガングロなのが残念(笑)。

こういう映画をみると思うのですが、
人間って、自分の弱さを誰かに受け止めて欲しい生き物だと思うnんですね。
それが出来ずにいると、「傷つきたくない」という鎧で自分を固めているので他人には決して優しくなれない。
サラへの愛に気付いてからのジェイコヴは、まなざしから行動の端々まで優しさがあふれていて、これってほんとに演技?というくらい自然で、名優というのはまさにこういう人たちをいうのだな、とつくづく思った次第です。(自分が惚れてるからってのもありますが(^^;))

耳をすませば

2004年12月12日 映画
ジブリの作品の中で一番スキです。
宮崎監督の作品ではないのですが(^_^;)
そこが良かったのかな?

わたしはどうも褒めるのが不得手なので
どうも言葉足らずになってしまうのですが、
この作品は、
「人を好きになるってことはこういうことだったんだね」
と改めて気付かされる作品とでも言いましょうか。

聖司君は今見ると一歩間違えばストーカー的だけれども(^_^;)、お互い、好きな人の世界に近づきたいという一途な気持ち、静かに相手を何時までも見ていたいという気持ちが、なんとも可愛らしくピュアで、ほんとうにほほえましい。

聖司君が図書館で雫の前の席に座り
「雫が終わるまで待ってるよ」と言う傍ら雫が満たされた表情で調べものを続けるシーンは
「あ〜っもうこの幸せ者っっ!!!!」とマジで羨ましかったです、はい。
雫っ、一生分幸せだっただろッ!とか(笑)。

中学生の時分は、やっぱりこのぐらい純粋で、これからこのふたりがどういう道を実際は選ぼうとも、
「雫、大好きだ!結婚しよう!」と叫んだ時のその気持ちは永遠ですよね。
うちの近くにねずみがメインキャラのストアー(笑)があるのですが、最近どうも様子がおかしい。

なんというか、「ただのファンシーショップじゃないかい!」と突っ込み入れたくなるんですよ…
置いてあるモノは姫ものばっかりで、それも小学校低学年以下しか持てん!と思われるものが大半。
品揃えの層が薄い、薄すぎる…
あのライ●ン・キングのものさえ無いんだからすごい。

でもってストアのおばさんが小うるさい。
いちいちスキのあるお客について回り、「これはお安いですよぉ〜」「あら、ス●ィッチ抱いてるけど、スキなのぉ〜?」とかうっとおしいんですけど。

あなた方はキャッチセールスですか?

だいたい、店員さん、でずにといえば姫モノかお☆ゃれキャットかミッ△ー・●ーさんしか知らないんじゃないだろうか。

テレビチャンピオン・「でずにストア店員選手権」とかやってくださーい。

ピクサー以外ので社製映画の近作を5つあげよ。
トレプラ知ってる?
ブラベアってなんの略?
ス●ィッチはなんていう動物(笑)?とか。
レジのひとに思わず聞いてみたくなりましたです、はい…(意地悪です)。
遅ればせながら鑑賞。

一昨日は夜中に台風よりももんのすごい嵐に見舞われ、
かと思えば昨日は、12月というのに夏のような暑さに辟易。
じゃあ暖冬なのかというとそうでもなく、
北海道じゃ大雪だ。

最近の地球は狂ってる。

人間もおかしい。
うちの近くにはケヤキの並木道があって、それは一見美しい。
しかし、コンクリートで固められたところに場違いな木が沢山生えているため、椋鳥たちが大群をなしてやってくる。
その鳥たちの落とし物が臭くてたまらないから(何故ならアスファルトの上では分解しないから)無駄な水を流し、掃除に明け暮れる。
椋鳥を追い払う妙ちきりんな音まで流して、こっちの頭までおかしくなる。

で、この映画だけれども、最近の異常気象とか、熊騒動とか、もろもろの不可思議現象と理不尽な対策の数々をみていると、かなり現実感を伴うお話だとは思う。

だけれども、この手のパニック映画は、アメリカ製というのもあるけれど、何故にピンポイントでアメリカ、そしてニューヨークなの?と突っ込みたくなる。
息子の救出劇につきあわされたD。クエイドの仲間2人が気の毒でしょうがない。
くどいくらいに自由の女神が出てくるのもどうよ。

異常気象が始まってまもなく
真っ先に日本にヒョウがぼこぼこ降って、おかしな日本語を話すサラリーマンが果てるところは、ひょっとして奥底にそういう願望があるんですかとか深読みしたくなります(苦笑)。

ラスト、自分だけ安全なところに逃げおおせた大統領が
「わたしたちは間違っていた」と声明を発表するところがあるけれど、あり得なくて笑える。
「わたしたち」じゃないよ、あなたでしょ。

ハウルの動く城

2004年12月5日 映画
見て参りました。

結論から言いますと、
好きです。
少なくとも、「千と千尋の神隠し」よりも
数倍興味深く、また単純に楽しく、面白かった。

父の遺した帽子屋でつましく働いて生計を立てているソフィーは、自分の若さにも、美貌にも自信をもてず、
にわかに戦争に沸き立つ世間からも一人取り残されたような毎日を送っている。
そんな彼女がある日偶然魔法使いのハウルに出会う。
ハウルは強大な力をもつ魔法使いであるにも拘わらず、ナルシストで気弱、やはり生きている実感のもてない浮遊感と空虚さを併せ持っている。
荒地の魔女に呪いをかけられたソフィーはハウルと弟子のマルクルたちと奇妙な共同生活を送るのだが…

私が思うに、ハウルは、まさに「男」というジェンダーを代表するようなキャラクターではないかと。
戦争という時代背景はあるものの、外に行っていったい何をしてくるのかさっぱり謎。
自分が大好きで、自分磨きに(特に外見)余念がない。
自分の秩序で「整っている」ものを乱されたくない。
つまらないことでどろどろに溶けて(笑)落ち込んだりする。
単純で、まさに男という生き物そのものなのだ。

ソフィーはそんな彼を時には母のように、祖母のように、恋人のように包み込む。
それは彼女の生来の優しさと生真面目さから来る強さのなせるワザだ。そしてこれは女性の本来もっている「母性」の象徴だろう。
そして、時には老婆になったり、老婆とは思えないほどの力を発揮したり、少女にもどったり。
微妙な描き分けと、倍賞さんの声の演技が素晴らしい。

私には息子はいないが、よそのお子さんを冷静に見ているとジェンダーの違いというものは、これは疑いようのない事実だと思う。
男の子というのは、常に限界を目指し、可能性を追求して生きている。だから危険なことも後先顧みずにやるし、人の作ったものを破壊する。しかし、その行動の裏に、悪意はない。
一方女の子というのは秩序を第一とするジェンダーだ。
男の子の無秩序さを中和し、筋道をたててやる。
ただただ「生きている」男に対し、女は「生活」することによってアイデンティティーを確立していくのだと思う。

「ハウル」では、宮崎監督の得意とする女性による「生活」の秩序立てと、仕事を持ち労働し食べることの気持ちよさが、やはり全編を通して流れている。

「ばかげた戦争」という時代背景はそれほどの意味をこの物語にもたらしているとは思えないけれど、「戦争」という名の麻薬にハイになっている人たちの「醜悪さ」はじゅうぶん伝わってきた。
そこにはただ自分のエゴを追求するだけの生き物がいて、「家族」の「愛」も存在しなかった。

ハウルとソフィーの純粋で、足もとのしっかりした愛で繋がった新しい「家族」は、血の繋がったそれよりもむしろ幸福で永遠のものに私には思えた。

★★★★★★★★★

とここまでまじめに語ってみました(笑)。
お気に入りキャラはマルクルとヒンです。
本当に可愛らしくて、ずっと見ていたかった。
カブはかかしのままが素敵。
荒れ地の魔女との階段登りは、映画史に残る名シーンですね(笑い)

まあこの映画はやはり、好きな人は好きでしょうけど、
駄目な人は駄目ですね。

ギター侍ふうに言えば、

これからソフィーはきっと大変。
だって、戦争がなかったら、ハウルはただのナルなぷー太郎ですから〜〜〜〜〜〜〜〜

残念っ!

てな感じでしょうかね(苦笑)。

海猫〈上〉

2004年12月1日 読書
まだ下巻の途中なのに書いちゃいます。

映画化されたということで読んでみました。
わたしの好きな(?)兄弟もの、らしいので…。

ロシア人のクォーターとして生まれ、函館に育った美しい女性・薫が、若くして望まれて昆布漁の村へ嫁ぎ、不慣れな生活の中、夫の愛を受け入れることで自分の存在を確認するが、その仮の幸せも長くは続かなかった…。義弟との禁じられた恋、不義の子の出産を通してほんものの「自分」に目覚めた薫は、家を出る決意をする。

といった内容でしょうか。
舞台は昭和30年代。
父の顔も、愛も知らない、自分のルーツにも確かなものを感じられず、生きている証が欲しくて結婚した薫。
それが間違いだと気付いた時には既に遅く、修羅場のあと、彼女が選んだのは子どもたちの目の前で自らを犠牲にすること…

というと聞こえがいいけれど、もうちょっと女性なら、母なら、
逞しく生きる力を得られなかったんでしょうか。
昭和30年代という、まだまだ女性にとっては厳しい時代というのもありますけれど。
彼女が経験した「結婚生活」は漁村という特殊な世界ではあるけれど、結婚した女性ならだれでも感じる(と思う)「妻」となってしまった女性の、アイデンティティーを失いかける一つの過程だと思う。
「クォーターで美しい」という条件は一般の女性には当てはまらない特殊なものでしょうけれど。

しかし。兄弟で一人の女性を…という設定はありがちですが、
思いを遂げてしまい子どもまでなしてしまうと、やっぱりなんだか不浄だなあとしか思えない。
昔、映画「瀬戸内少年野球団」で、夏目雅子が夫が戦死したため、義両親に義弟との関係を迫られるなんてシーンがあって吐き気を催した覚えがあります。
もし、そんなことが昔当たり前のようにあったことなら、おぞましい限りです。

下巻では、成長した薫の娘たちの物語になっていて、こちらの方が生き生きとした物語になっている。

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