お産は今も昔も命がけです。
どんなに医療の手を借りようと
最後に頼りになるのは
母体と赤ちゃんのコンディションだ。

この医師は、この医療事故(あえてこう言う)の後、
真摯に遺族に経過を説明し、
自分の力が足りなかったことを詫びるべきだったのだ。

子宮を温存する為に胎盤を剥離することを選んだ医師の判断は
結果的には間違っていた。
が、一瞬の判断を要する時に
人の臓器を切り取る判断を独断で下せるのか。

初めからハイリスクと分かっているなら
二重・三重のガードを張ることもできようが、
そうでない場合の、予期せぬ異常事態にどれだけ個人医院が対応出来るのか。

出産時のぎりぎりの出来事は
母子ともに健康なら、
「武勇伝」として語られがちだ。
が、私たち女性は、今一度出産と医療について
考えてみる必要があると思う。

犠牲になられたこのお母様、
また、面には出ない死産で亡くなった赤ちゃんや出産事故に遭われた方々の経験を
私たちは無駄にしてはいけないのだ。

自分が出産して終わりではないのだから。

亡くなった女性のご冥福と、
お母さんの命を引き継いだ赤ちゃんの健康をお祈りします。

コメント

ブログ脳外科医
脳外科医
2008年8月20日16:51

「自分の力が足りなかったことを詫びるべきだった」のか,「子宮を温存する為に胎盤を剥離することを選んだ医師の判断は結果的には間違っていた」,のかは状況により議論の余地がありそうですし,「個人医院が対応出来るのか」というのも公的病院なら対応できるというものでもないでしょう.無罪判決が出たのに医療事故と言うのはどうでしょうか.

エーコ
エーコ
2008年8月20日17:13

無罪判決が出たからこそ、
医療「ミス」と言わずに敢えて「事故」と言ったのです。

おっしゃるとおり、確かに公的病院だからといって対応出来るとは限りませんね。
私が遭った「事故」は公立病院でしたから。

ブログ脳外科医
脳外科医
2008年8月20日20:34

医師が予測できない状況下で最善を尽くしたと思われるこのケースを,医療事故というのも議論の余地があると思います.

nophoto
産婦人科医の一人
2008年8月21日13:03

 お産が病気ではないと認識されている点が、問題だと思います。私は何件もお産で怖い思いをしたことがあります。色々な予測はたてていても、そのようにならないのがお産であって、昔であれば多くの人が出産や産後に亡くなっていた時代があります。海外では未だに周産期死亡率は高いです。
 今回のようなことがあれば、どんな医師(いや医療者でなくても)も申し訳ないと思うと思われますが、その気持ちを遺族に伝えれば、何か過失があったからその様に誤るのだと勘違いされると思います。その点はいかがでしょうか?
 私は患者様が不利益をこうむった時、それがその方が持っている合併症のせいだとしても、その点で辛い治療や局面に立たなければいけない状況になったことに対して、何かしてあげられなかったのかと思うといつも申し訳なく感じてしまいます。
 日頃切に思う事は、今回の事はマスコミにも責任はあると思います。マスコミには真実を報道して欲しいし、その責任があると思うのです。昨日はある報道番組でコメンテーターが、「日本中の人が医療に対して不信がある」とか平気で言っていましたが、そのようにさせたのはマスコミにも責任があると思っています。一方だけの情報を流すのは、いじめに近いものを感じ、何も公平ではなく、何も知らない人の考えを洗脳しているとしか思えません。
 今回のようなことがあったから、産婦人科医が減っているという点だけを報道するのではなく、一般の人にお産が命がけであることを啓蒙し、少なくともお産に直面している人は分娩に伴うリスクについて少しでもいいので勉強してほしいと思います。
 人のブログに長々と書き込んでしまい申し訳ありませんでした。しかし、どうしても日頃からこの事は気になっていて、書かずにはいられませんでした。
 私の意見にも賛否両論あると思います。私も産婦人科医である前に、一人の人間ですのでその点ご理解頂ければと思います。

エーコ
エーコ
2008年8月21日13:52

>何か過失があったからその様に誤るのだと勘違いされると思います

勘違いかどうかはともかく、そう思われる可能性は高いですね。
だから簡単には謝罪しないのですよね。

この医師はご遺族に、事後どのような説明をしたのか、
それが誠意あるものだったのか、当事者同士でなければ分かりません。

ただ、マスコミの報道は断片的であまり当てにはなりません。
伝えたいことを、伝えたいように勝手に切り取ってつぎはぎに報道するわけですから。
それも承知です。

誤解されているようですが、私は医師・遺族どちらの味方でもないですよ。
出産は個人的なものであり、自己責任。
医療に支えられたお産も100%安全ではない。
出産や手術に臨む者は、楽観を控えそれなりの覚悟が必要という主旨で書いたつもりですが。