人は毎日死んでいる。
そして毎日生まれている。

死に関して言えば、日常だけど、目をそらしている。
誕生に関しては、関心がないと目に入らない。

映画には多々ジャンルはあるけれど
人がただ死ぬだけの映画はいただけない。
それが、実話であっても、である。
出来れば、実話は映画にしてほしくないくらいだ。

考えてもみてほしい。
生まれることと死ぬことは同義である。
人様の個人的な誕生話に延々2時間つきあえるだろうか。
出産武勇伝もうんざりすることこの上ない。
なのに「死」に関することには皆ずいぶんと個人的な話に寛大ではないか?

人は何事かを成しにこの世に生まれ落ちてくると思いたいが
思い半ばで病に倒れる人、
思わぬ事故で亡くなる人、
自ら命を絶つ人、
様々である。

それぞれにスポットが当たることはない。
うちのマンションじゃここ数年で
数件の飛び降りがあったが、
知らない人も多い。
地元ニュースにさえならない。
それほど日常であり黙殺される存在のはずだ。
本来、死とは。

命に貴賤はないはずだが
実際はある。
そして、
人間は死ぬ間際、結構しつこい。
醜態もさらさず、人に手間をかけさせず、
あっさりとオーシャンビューのバルコニーで
一人静かに死んだりしない。

精神論を説きたいなら、
もっと演技派を選ぶべきだし、
せめて俳優はもっと肉体をいじめて欲しい。

先日目にした戦争捕虜のドラマも
俳優の前後の仕事のつながりという大人の事情が見え隠れして残念だったな。
(髪型や言葉遣い、立ち居振る舞いなど、もっとこだわって欲しかった)

綺麗事だらけの映画やドラマの影響で、死ぬことが美しく潔いと勘違いする人が増えないことを祈ります。

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