権力に執着する人間というのは
呆れるくらいいるものだ。

市議会とか町会とか
PTAとか
子ども会とか
幼稚園の母の集まりとか
ただの公園ママ仲間とか

いくらでもいる。

また、権力者にならず
その権力者の側にいないと気が済まないと言う種の人間がいる。

権力にあまり興味のない人間は
そんな特殊な欲求があることにひたすらビックリさせられるし
そういう特殊な人間は「善意」の皮をかぶって
他人を実に巧みに懐柔して身動きがとれないようにしてしまうものだ。

米国の、時代に見捨てられ廃れてしまった小さな街。
ポール・ニューマンが総指揮をとったというこのドラマは
慈愛という仮面をかぶって長きにわたり街のすべてを掌握しコントロールしている女主人(J。ウッドワード)と
学はあるもののとある事情から街のレストランを任されてさえない暮らしを続けている男(E.ハリス)を中心に展開される。

町中が顔見知りの街の中で小さく暮らし死んでいくしかない閉塞感が実にリアルだ。
優しさ故に日本で言えば「義理と人情」に縛られて自分の思ったように行動できない主人公は
一昔前の言い方を借りればまさにアダルト・チルドレンである。

彼とは対照的な自由な魂をもった父親(ニューマン)が実にいい。
ろくでなしには違いないのだが、彼は他人を「許す」心を持っている。
自分の妻が浮気をしていても
次男が自分の子どもでないと知っていても
息子が自分をあからさまに疎ましがっても
「それでもいいんだよ」と彼の佇まいが語っている。

名優って、こういう人のことをいうんだろうな。

主人公がいかに街の「魔女」の呪縛から解放されていくかが主軸だが、
ストーリーは日常の小さなエピソードを幾重にも重ねて
淡々と進むので、見る者は、なんだかドキュメンタリーでも見ているような気分になってくる。
が、ある日、小さな街を震撼させる出来事が起きる。
帝国の崩壊は始まっていた…。

E.ハリスやニューマン、J.ウッドワードほか
H.ハント、R.ライトなど贅沢なキャストの競演も見所。

「直せないものなど、この世にはないさ!」(自分が壊したダッシュボードを見て・ニューマンの台詞)

自殺した者は結末を知ることができない。(ナレーション)

名言です。
感動した!(←古いw)

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