韓国映画「ぼくが9才だったころ」を見た。

原作は小説で、70年代の時代を背景に
決して裕福ではない片田舎の小学生たちがすごす日常を切り取ったお話なのだが
これがなかなかの秀作なんである。

主人公・ヨミンは自他共に認める学校のガキ大将。
家は貧しいが、片目が不自由で身体も弱い母と優しい父、
妹と寄り添って暮らしている。
彼は母の目を治すため、学校帰りに掃除やトイレのくみ取り、
アイス売りなんかをして小銭を稼ぎ、
キムチ用の坪みたいなのにこっそり隠している。

ある日、ヨミンの学校に
自称アメリカからの帰国子女、ウリムが転校してくる。
気位が高く気分屋な彼女には、ヨミンをはじめ取り巻き達は振り回されっぱなし。
が、いつしかヨミンはウリムに惹かれ始めて…

…とまあ
ベタと言えばベタな展開なんだが
この映画で感心したのは
ありがちな
「イケメン俳優による回想映画」になっていないことだ。
つまり、初めから終わりまで小学生は小学生のままであり
その視点から逃れることがない。
大人達はあくまで彼らにとって抗えない存在であり
矛盾を抱えた大人達の支配する中での9才達が
悩み・苦しみ、涙を流しながら成長していく姿を
実に丁寧に描いているのだ。

日本の映画にはマネできないんじゃないですか?

映画としては多少、編集の荒いところとは目に付くんだけれども
子ども達が変に大人ぶらず等身大に悩み、
自分なりに「大人」という未知の生き物に対峙する姿が
健気に描かれているところは本当に素晴らしい。

主人公・ヨミンは
目が悪い母に、取りあえずサングラスを買って上げようとするのだが
親に内緒でアルバイトをしていたことに母親が激怒して
涙ながらに折檻する姿に共感まではいかないが
その気持ちが痛いほど分かってしまう自分に
「年輪」を感じてしまった…(^^;)

ウン、でも
これは必見の映画ですよ。
つまんねーアクション&暴力満載映画見るくらいなら
韓国映画見るがいいよ。

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