ブラザー・ベア バリューパック
2006年9月1日 映画
そろそろつっこんだ?感想を書こうと思います。
前作「ブラザー・ベア」は、アメリカの同時多発テロの一年後という微妙なタイミングで
公開されました。
評判は芳しくありませんでした。
自らが原因であるにも拘わらず、クマを逆恨みし、深追いした挙げ句に「憎しみ」だけのために殺してしまう青年・キナイ。
彼はスピリットとなった兄シトゥカの導きでクマに変身させられ、
偶然出会った子グマのコーダと旅の中で絆を築き、
彼自身をキナイの敵と思いこんで執拗に追ってくるデナヒから逃れながら
自分のトーテム「愛」の意味を思い知るのです。
彼が最後にした選択は、当時のアメリカ人からしたらナンセンスで受け入れられなかったことでしょう。
自分たちの身を脅かす者は「絶対悪」という風潮が巷に溢れていたからです。
「相手の立場に立ってものを考える」
「自らの過ちを認め、身をもって一生をかけて償う」
兄を捨て、故郷を捨てて「償い」を選んだキナイの姿は、彼らには女々しく弱々しい選択に見えたに違いありません。
「ブラザー・ベア」の構成は、正直あまりバランスがいいとは言えず、
前半の人間たち中心のドラマと、後半のいかにもディズニー映画のミュージカルチックで強引な展開が不協和音を起こしていました。
にもかかわらず私の心をとらえたのは、雄大な自然の中を自然の理の中で謙虚に暮らすイヌイットたちの姿なのです。
「ブラザー・ベア」のラストで熊・キナイが手形を押す場面は、
やはり大団円風に描かれていますが、デナヒの語りによって
この後彼らは袂を分かつことが分かります。
狩る者・狩られる者の立場は変わることなく、彼らは一緒にいることは許されない。
お互いの立場をリスペクトしながらも自然の理を逸脱することはなかった。
だからこそこの物語の結末は切ないし、胸を打つ。
そこにこの映画のすごさがあったと思うのです。
続編「ブラザー・ベア2」は
前作の設定を上手に利用しながら、
新たにヒロイン・ニータを迎えお話に華を添えています。
違う集落の娘であることはなんとなく分かりますが、どうしてキナイと仲良くなったのか、
その後どのようにして熊になったキナイのことを知ったのかは謎。
勝ち気でお転婆な彼女はなかなかに魅力的で、しかしなんかどっかで見たような…
という既視感は否めないキャラクター。
彼女だけでなく「ブラベア2」ではいろいろなシーンで「オマージュか?」と思わせるようなシーンが至るところで見られる。
幼い頃に母を亡くし婚期がせまっているのはポカホンタスっぽいし
木々の間をすり抜けるアクションはターザンだし
雪崩はムーランだし
ラストのアトカVSキナイは「美女と野獣」のガストンと野獣の対決だ。(笑)
アトカ、死ぬかと思った(爆)。
構成的には前作に比べてよくできていると思う。
まぁ緩急が効いてるし、
子どもが見ても理解できるし、飽きずに最後まで見られるだろう。
ストーリーはあらすじを知ったときから結末は分かっていた。
ほとんど想像した通りといっても過言ではない。
特筆するべき所はハッキリ言って見あたらないが、
今作品のテーマである(と思われる)
「相手の幸せを願い、自由にさせてあげる愛」
「離れていても、心の中にお互いが生き続ける」というメッセージは、かなり手堅く感じられた。
映像(特にクライマックス)も美しく、鳥肌が立つようなシーンもある。
大自然の描写は前作に勝るとも劣らない。
ケチをつけるとすれば、エンディングだろうか。
キナイやコーダのみならず、他のクマたちまで参列するセレモニーは
正直「ありえねぇ」と思ってしまうのは心の汚れた大人だからか。
今回、グレート・スピリットがあまりにも大サービスの連続だったため、
少々イヌイットたちの謙虚な自然観が壊れ、ご都合主義を感じてしまったのも確か。
それと、「アトカ」がもうちょい魅力的なキャラクターだったら
ニータの決断ももっと大きな意味をもったのにな、と思う。
いずれにしろ、2年半、待ち続けた続編が一般大衆に受け入れられやすい作品となって
「ブラザー・ベア」の世界を補完してくれたことは
多分、喜ぶべきなんでしょう。
また、物議を醸した前作に比べ、曖昧さを排除しかなり力強いメッセージとともに前作の世界観を凌駕してしまった今作は、我々の想像や妄想が入り込む隙は全くと言ってない。
Fanartを描く気も起こらないし、二次小説も生まれない。
寂しい限りだが、私が「ブラザー・ベア」について語ることはもう無いだろう。
前作「ブラザー・ベア」は、アメリカの同時多発テロの一年後という微妙なタイミングで
公開されました。
評判は芳しくありませんでした。
自らが原因であるにも拘わらず、クマを逆恨みし、深追いした挙げ句に「憎しみ」だけのために殺してしまう青年・キナイ。
彼はスピリットとなった兄シトゥカの導きでクマに変身させられ、
偶然出会った子グマのコーダと旅の中で絆を築き、
彼自身をキナイの敵と思いこんで執拗に追ってくるデナヒから逃れながら
自分のトーテム「愛」の意味を思い知るのです。
彼が最後にした選択は、当時のアメリカ人からしたらナンセンスで受け入れられなかったことでしょう。
自分たちの身を脅かす者は「絶対悪」という風潮が巷に溢れていたからです。
「相手の立場に立ってものを考える」
「自らの過ちを認め、身をもって一生をかけて償う」
兄を捨て、故郷を捨てて「償い」を選んだキナイの姿は、彼らには女々しく弱々しい選択に見えたに違いありません。
「ブラザー・ベア」の構成は、正直あまりバランスがいいとは言えず、
前半の人間たち中心のドラマと、後半のいかにもディズニー映画のミュージカルチックで強引な展開が不協和音を起こしていました。
にもかかわらず私の心をとらえたのは、雄大な自然の中を自然の理の中で謙虚に暮らすイヌイットたちの姿なのです。
「ブラザー・ベア」のラストで熊・キナイが手形を押す場面は、
やはり大団円風に描かれていますが、デナヒの語りによって
この後彼らは袂を分かつことが分かります。
狩る者・狩られる者の立場は変わることなく、彼らは一緒にいることは許されない。
お互いの立場をリスペクトしながらも自然の理を逸脱することはなかった。
だからこそこの物語の結末は切ないし、胸を打つ。
そこにこの映画のすごさがあったと思うのです。
続編「ブラザー・ベア2」は
前作の設定を上手に利用しながら、
新たにヒロイン・ニータを迎えお話に華を添えています。
違う集落の娘であることはなんとなく分かりますが、どうしてキナイと仲良くなったのか、
その後どのようにして熊になったキナイのことを知ったのかは謎。
勝ち気でお転婆な彼女はなかなかに魅力的で、しかしなんかどっかで見たような…
という既視感は否めないキャラクター。
彼女だけでなく「ブラベア2」ではいろいろなシーンで「オマージュか?」と思わせるようなシーンが至るところで見られる。
幼い頃に母を亡くし婚期がせまっているのはポカホンタスっぽいし
木々の間をすり抜けるアクションはターザンだし
雪崩はムーランだし
ラストのアトカVSキナイは「美女と野獣」のガストンと野獣の対決だ。(笑)
アトカ、死ぬかと思った(爆)。
構成的には前作に比べてよくできていると思う。
まぁ緩急が効いてるし、
子どもが見ても理解できるし、飽きずに最後まで見られるだろう。
ストーリーはあらすじを知ったときから結末は分かっていた。
ほとんど想像した通りといっても過言ではない。
特筆するべき所はハッキリ言って見あたらないが、
今作品のテーマである(と思われる)
「相手の幸せを願い、自由にさせてあげる愛」
「離れていても、心の中にお互いが生き続ける」というメッセージは、かなり手堅く感じられた。
映像(特にクライマックス)も美しく、鳥肌が立つようなシーンもある。
大自然の描写は前作に勝るとも劣らない。
ケチをつけるとすれば、エンディングだろうか。
キナイやコーダのみならず、他のクマたちまで参列するセレモニーは
正直「ありえねぇ」と思ってしまうのは心の汚れた大人だからか。
今回、グレート・スピリットがあまりにも大サービスの連続だったため、
少々イヌイットたちの謙虚な自然観が壊れ、ご都合主義を感じてしまったのも確か。
それと、「アトカ」がもうちょい魅力的なキャラクターだったら
ニータの決断ももっと大きな意味をもったのにな、と思う。
いずれにしろ、2年半、待ち続けた続編が一般大衆に受け入れられやすい作品となって
「ブラザー・ベア」の世界を補完してくれたことは
多分、喜ぶべきなんでしょう。
また、物議を醸した前作に比べ、曖昧さを排除しかなり力強いメッセージとともに前作の世界観を凌駕してしまった今作は、我々の想像や妄想が入り込む隙は全くと言ってない。
Fanartを描く気も起こらないし、二次小説も生まれない。
寂しい限りだが、私が「ブラザー・ベア」について語ることはもう無いだろう。
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