ずんだもち

2004年11月25日 エッセイ
ずんだもちとは。
おそらく、北国の方しか知らないのではないでしょうか。
枝豆をすりつぶし、お砂糖と塩で味付けした緑色のおはぎです。

春と秋の彼岸に母が来客用に大量に作る、あずきのおはぎが大好きでした。
が、ずんだもちだけは気味が悪くて食べられなかった…
だって、枝豆に砂糖で味付けしてあるんだよ…
小さいときは、この「緑のあんこ」が恐怖でしかたありませんでした。

が、今は無性に食べたくて仕方がありません。
ときどき取り寄せて食べてみたりするのだけれど、
どんなに有名な和菓子屋さんのものでも、やっぱり手作りのものにはかなわないのです。
というか、お上品にセロファンに包んであるような風情の食べ物じゃないんですよ。
大きなお皿にどどん!と山盛りで、やってくるお客さんを満面の笑顔で迎えるような温かさは、お店のものでは醸し出せないのです。

お正月が近づくと、お汁粉用の小豆をこれまた大量に茹で、こしあんを作るのですが、ほかほかの小豆をざるに空け、すりこぎ棒でつぶしてサラシで煮汁をぎゅっと絞る。
そんな工程を見たり手伝ったりするのが大好きでした。

特にお金持ちでもなく、親も大袈裟に可愛がってくれたりもしなかったけれど、そういう何気ないおだやかな風景が焼き付いているのって、やっぱり幸せな子ども時代だったんだな、と今は思えます。

今は何でも即座に要求に応えることを求められるけど、
ゆったりと「生活」する風景を、自分の子どもにも伝えられたらなぁと、しみじみ思う今日この頃です。

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