ハワイの島を舞台に、迷い込んだエイリアンと子どものふれあいを描いたハートフルなお話…という予備知識で見た。

こんなにSFバリバリなハチャメチャアクション映画とは思わなんだ(笑)。
オープニングはSWチック、後半はメン・イン・ブラックてところか。しかし…

リロは事故で父母を失い、年の離れた姉ナニと暮らしている。
ナニは幼い妹を抱えながらも、なんとか仕事をこなし生活しているが、リロは父母がいない寂しさからか、毎日問題ばかり起こしている。そのせいでナニは児童福祉局から目をつけられ、毎日びくびくしながら暮らしている。
姉がいくら背伸びをしてがんばっても、幼い(5歳くらい?)妹にとっては父や母の代わりにはとうていなれないのだ。
彼女は「姉」ではなく、「パパ」や「ママ」が欲しいのだ。
わずか5歳ほどの幼児の心の葛藤を、誰が「ワガママ」と責められるだろう。
それが痛いほど伝わってくるので、ここでまず観客は涙してしまう。

一方エイリアンのスティッチのほうは、マッド・サイエンティストのエゴで想像された、突然変異の生物。
彼には父も母もいない。
ある日突然ポンと生まれてきた、まったくルーツの無い、破壊することだけをプログラミングされた怪物。
なんだかポケモンの「ミュウ2」ばりの設定じゃありませんか。

追放され地球に逃げ込んだ「スティッチ」はリロに「犬」として飼われ、
ある意味似たもの同士の2人(?)は破壊と混沌を繰り返しながらも少しずつ変わっていく。

自分の出生の秘密を理解していないスティッチが、「もしかしたら、家族がくるかも…」とひとりぼっちで空を見上げるシーンでは不覚にも涙がボロボロあふれてしまった。

スティッチは「モンスター」だけれど、人間だって、ただ生み出されただけで、愛も無く放っておかれたら、彼のように破壊者になってしまうかも知れない。
時には愛が足りないとか、求める愛の種類が違ってしまって飢餓状態になっても、それを補う「家族」(血がつながっていなくても、損得勘定抜きで寄り添える仲間)があれば、必ず幸せになれるのだ。
ナニとボーイフレンドのデヴィッドは、この突拍子もない話に現実感を与える、ほんとにイイキャラクターだと思う。

ラストのドタバタはお子様たちの注意を引くためのお約束とこの際目をつぶるとして、
ハワイの海の美しさ、人の温かさを肌で感じるような絵作りが、見る人をあったかい気持ちにしてくれる。名作!

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