ディズニーの劇場用アニメのなかでは、最もお気に入りの中の一本。

ネイティブ・アメリカンの酋長の娘と、黄金を探しに大陸に乗り込んできた英国開拓者達に混じってやってきた冒険家・ジョン・スミスの恋を描く。
ディズニー映画史上初の悲恋の物語なのだ。

ポカホンタスがあまり可愛くないという噂もあったけど
実際の動画の中の彼女はとてもチャーミングだ。
彼女のマスコットのアライグマ(ミーコ。名前も可愛い!)も
ジョンに冷たい気むずかし屋のハチドリのコンビもいい。

ネイティブアメリカンの話にミュージカルなんて、と思うだろうが、そのできばえはミュージカルアレルギーの人でも思わず鳥肌が立つほど。
特に、ジョンに「私たちをあなた方はsavagesと呼ぶけれど、あなた方も同じ。何もかもが(正しく)見えている訳じゃない」と歌い上げるシーンは秀逸だ。

また、演出にも新しい試みがなされている。
ディズニーのアニメは、フルアニメだから実によくなめらかに「動く」わけだけれど、時には無駄な動きに見えてしまうこともある。
ポカホンタスも動きはなめらかだが、じっと止まって考えたり、
顔の止め絵の表情だけで見せる場面が多いのだ。
キャラクターの心情を、台詞でなくキャラクターに「演技」させているのだ。また、「間」を非常に効果的に使っている。(この辺は近作「ブラザーベア」にも通じるところがある)
ジョン・スミスが初めてポカホンタスと対峙するときのあの「間」には、多くの人がジョン同様ゾクッとしたに違いない。

ただ、残念なのは、子どもはこの映画を楽しく見られないのでは、という点だ。
うちの子はポカホンタスの許嫁ココアムが射殺されてしまう場面になると「コワイ!コワイから消して!!」とおびえたものだ。
でもってジョンの処刑方法は撲殺(死なないけど。)
おまけにジョンは酋長をかばって撃たれてしまう。
ふつうの映画だったら特に珍しくも何ともないシーンだ。
だけど、子どもが見るディズニー映画とはちょっと違うのではないか。

ポカホンタスが不細工だからではなく、
大人の鑑賞に耐えるアニメをという試みが、
子どもが「楽しんで」見られるアニメでは無くなってしまったところに、マイナーになってしまった原因があるのかも。

が、食わず嫌いの方には是非見てもらいたい傑作の一つとして
敢えておすすめしたい。

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